点検評価と課題 233
4-2 分子構造研究系
国内評価委員会開催日:平成14年11月13日
委 員 永田 敬 (東大院総合文化,教授) 梶本 興亜 (京大院理,教授) 北川 禎三 (分子研,教授) 岡本 裕巳 (分子研,教授) 横山 利彦 (分子研,教授) 森田 紀夫 (分子研,助教授) 加藤 立久 (分子研,助教授)
4-2-1 点検評価国内委員会の報告
所内委員C:法人化に向けて将来計画や法人化中期目標などを外部に示さなければなりません。その作成にあたり点 検評価結果やこの座談会の内容を参考にさせていただきます。分子構造系がどうあるべきか,または,本 日の点検評価インタビューを通して受けた分子構造系の印象をお聞かせください。
所外委員B:研究所として各研究系の特徴を区別して,役割分担などしていますか?
所内委員C:以前には各研究系の区別を明確にして,役割分担をしていました。しかし,最近は研究系の間の垣根は 取り払われる方向です。その傾向は新教授の公募文案にはっきり現われてます。
所外委員B:役割分担をしないことは良いことなのでしょうか? 例えば分子構造系と電子構造系の区別や関係はど のように考えるのでしょうか?
所外委員A:昔の分子構造系は広田先生を代表とする分光学が中心でした。それに比べて現在のメンバーの研究はか なり異なる印象を受けます。しかし,どのグループも分子構造論を基礎として,対象物の特徴的な機能 を引き出したり観測したりしている。そういう意味で分子構造系として違和感はありませんでした。電 子構造系と何処が違うのかな? と疑問に思いますが,異なる研究系と協力関係の下に,研究所全体と して研究が発展すれば研究系の役割分担を区別する必要はないとおもいます。
所内委員C:分子科学自身が変化している現状で,現在の研究系・研究所がその変化にマッチしていますか? 所外委員A:現在の分子科学に研究所がマッチしているかを議論するためには,この研究所の分子科学に対する役割
を考える必要があると思います。
所外委員B:分子研は研究者を育てることが役割だと思います。大学は研究者の卵である学生を育てるように。です から修士課程を持つ必要はないと思います。ポスドク以上の若い研究者を育てるべきです。そのために は,日本国内外の研究者間はもちろん,研究所内の研究者同士のディスカッションが盛んであるべきで す。
所内委員C:最近の大学評価において,それぞれのポジションにとって組織が有効に機能しているかという点を検討 しますが,分子研はいかがでしょうか?
所外委員A:私の大学でも,大学院生にとって大学は有効に機能しているか? という議論をしています。この研究 所の場合は,若い研究者が外へ出てからどのくらい活躍しているかで,研究所が有効に機能したかの証 拠になります。ですから,人事の回転が速いことは大変重要です。
所内委員C:分子研は上へのプロモーションを禁止していることが大変有効に働いています。
234 点検評価と課題
所外委員A:最近分子研の教授の人選が若い層へシフトしています。このような若い教授の方々は,十年の後に新た に外へ出ていかれることを考えてはいかがですか? 分子研で研究者を育てることを経験した後に,大 学へ出て学生を育ててはいかがですか? そうすれば教授人事の流動性も良くなるでしょう?
所内委員C:そのためには教授に任期を付けても良いかもしれませんね。
所外委員B:そうすると,分子研の教授の役割は何ですか? 助教授は研究者として育っていけば良いが,教授には どのような役割があるのでしょうか?
所外委員A:これまで,既にアドミニストレーションの経験の豊富な教授を採用するという人事も行われていますが, これからは2つの種類の教授人事が存在して良いのではないですか? 研究の新領域を開拓するような 若い教授がいても良いと思います。その反対に,アドミニストレーションに特化した教授人事をやって はどうですか?
所内委員C:過去に錯体施設でアドミニストレーションに特化した教授人事をやったことがあります。
所内委員F:今後法人化に向けて,そのようなアドミニストレーションに特化した教授人事が必要になるでしょう? 所外委員A:そのとおりです。
所内委員C:分子研内の研究系のサイズは今のサイエンスにとって適切でしょうか? 例えばバイオ研究にはもっと 大きなサイズが必要ではないでしょうか?
所外委員B:複数の研究グループ間でもっと密接な研究協力・関連を持ってはいかがですか?
所内委員C:そういう意味では,東京工業大学は教授と助教授がお互いに合同のセミナーが開けるくらいの,かなり 密接な関連を持っていますね。
所外委員A:確かに各グループが小さいですね。スタッフを多くすべきですね。その時には10年プロジェクト計画の 下2つ以上のグループの人事をまとめて行い,10年経ったら教授を含めて全員解散するようにしてはい かがですか? 教授の流動性も上がりますよ。
所内委員F:プロジェクト制はこれまでも導入されたことがありますが,「言うは易し行うは難し」です。 所内委員D:そのような流動性を伴った動きを加速するためには,全国的に流動性を上げる必要があります。 所外委員A:その意味で,65歳定年制は流動性を上げると思います。つまり55歳でも教授として採れるわけです。 所内委員C:その他にご意見はありませんか?
所外委員A:ところで,J S Tなど,文部科学省関係以外の外部資金を採る方は多いでしょうか? 所内委員C:それほど多くはありません。
所外委員A:研究所内でグループを作って,科研費Sなどを目指してはいかがですか?
所外委員B:分子スケールナノサイエンスセンターではアプリケーションを志向するのでしょうか? 所内委員C:いえ,基礎研究をすべきです。
所内委員D:やはり基礎研究が基本です。
所外委員B:やはり分子研では基礎研究を目指して欲しいですね。しかし,財源や人事の面で基礎研究を目指しつづ けることは困難を伴います。それを可能にするためには社会や学会に対して強いインパクトを与えてい くことが重要です。
一 同:これから5年間で社会・学会に強いインパクトが与えられるか? 今が正念場でしょう。